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FF・FR・4WD? 駆動形式の違いとメリット・デメリット
FF、FR、4WDなど、車にはさまざまな「駆動形式」がありますが、それぞれの違いをご存知でしょうか? 各駆動形式の特徴とメリット・デメリットについて解説します。
FF
FFとは、「フロントエンジン・フロントドライブ」の略称です。エンジンはボディ前方に搭載され、前輪を駆動して走ります。2017年現在、最も多くの乗用車で採用されている駆動方式です。FFのメリットは、駆動力を後輪に伝えるプロペラシャフトが不要なため、車内のスペースを広くできることです。また、部品が少なくなる分、製造コストも抑えられます。
一方、デメリットとしては前輪で駆動も操舵も行うことで最小回転半径が大きくなり、アンダーステア(速度が上がるにつれ車の向きがカーブの外側へ膨らんでいくこと)傾向が強くなるため、スポーツカーには向かないとされる駆動形式です。
FR
FRはフロントエンジン・リアドライブの略称です。エンジンがボディ前方にあるのはFFと同じですが、後輪を駆動して走行する点が異なります。前輪で操舵、後輪で駆動するという役割分担がされているため、車が効率的に動き、自然なステアリングフィールを得られます。車両全体に重量のあるパーツを分散して配置することで、バランスに優れた構造になる点もFRのメリットです。
反対にFRのデメリットは、FFでは不要だったプロペラシャフトを通す構造になり、車内が狭くなることです。
4WD
4WDはフォー・ホイール・ドライブの略です。日本語では四輪駆動と呼ばれます。エンジンの搭載位置に関係なく、エンジンからの回転力を、センターデフを通じて4つのタイヤに分配して駆動させる方式です。もともと荒れた路面、滑りやすい路面など悪路を走るオフロード車に多く採用されてきましたが、高速走行時の直進安定性、操縦安定性が得られることから、今ではスポーツカーなどにも使用されています。
一方、4WDはFFやFRに比べて車体が重くなり、燃費が悪いというデメリットがあります。また、製造コストもかかるため高価になりやすいです。
MR
MRはミッドシップエンジン・リアドライブの略です。車体のほぼ真ん中にエンジンを配置し、後輪を駆動します。最も重いパーツであるエンジンを中心に配するため、重量配分に優れ、回頭性が高く、FRよりも後輪にトラクション(駆動力)がかかりやすいといわれます。
MRのデメリットは構造上、後部座席を取り付けることが難しく、ほぼ2シーターになり車内が狭いことです。トランクも小さくなります。
なお、F1に使われる車もMRを採用しており、市販車でもMRを採用する車はスポーツカーであることがほとんどです。
RR
RRはリアエンジン・リアドライブの略です。ボディ後方にエンジンを登載、後輪を駆動して走行します。FRと同じく舵取りと駆動の役割が分担されているので効率的、MRと同様にフロント部分にエンジンがないので回頭性に優れます。また、トラクション性能も申し分ありません。
デメリットとしては、オーバーステア(速度が上がるにつれ車の向きがカーブの内側へ巻き込まれていくこと)傾向が強くなることです。アクセルやブレーキなどの配管が長くなる分、フィーリングもつかみづらくなるといわれます。また、珍しい駆動形式のため、これを搭載した車種は限られています。
最もポピュラーな駆動形式はFF、スポーツタイプや高級車ではFRやMR、オフロード車は4WD、珍しいRR……といったところが、最近の傾向です。それぞれの違いを整理して、車に対する理解度を深めていきましょう。