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板金塗装をする際に使われる道具にはどのようなものがあるの?
板金塗装では板金ハンマーやスプレーガンなど、この仕事ならではといえる専門的な道具をよく使用します。それらの道具を使いこなせるようになることが、一人前の証になるともいえるでしょう。今回は板金と塗装に分けて、それぞれどのような道具があるのかをご紹介します。
板金で使う道具
まずは板金作業に使用する道具からです。次のような道具があります。
板金ハンマー
板金ハンマーはハンマリングと呼ばれる作業に使用します。ハンマリングは板金ハンマーとドリー(当て盤)を使って自動車の外板パネルを叩いたり、ならしたりすることで形を整えていく作業です。板金ハンマーには通常の「ならしハンマー」のほか、打撃面がギザギザになっていて外板パネルの延びを最小限に抑えられる「絞りハンマー」などがあります。
パテ、ヘラ
ハンマリングなどである程度、形を整えた外板パネルには、まだ微細な凹凸が残っています。その際に使用するのがパテです。パテはくぼみ、割れ、溝などを埋めて、周囲の面と同じように仕上げるために用います。傷が深い場合の厚付け用、仕上げに使う薄付け用などの種類があります。
パテを使うときはまずパレットに出し、硬化剤と一緒にヘラを使って素早く混ぜます。また、実際にパネルなどに塗るときもヘラを使用します。
サンドペーパー
サンドペーパーはさまざまな用途で使います。修復箇所の錆や塗装を剥がすときには目が粗いサンドペーパーを選びます。盛り上げたパテをならして面を出す際にはやや目が粗いサンドペーパーを、面を出したパテの仕上げ用にはやや目が細かいサンドペーパーを使います。最終的にパテをつるつるになるまで研ぎ下ろす際は、最も目が細かいサンドペーパーを使うことになります。
なお、パテにサンドペーパーを使用するときは、サンドペーパーを水で濡らして磨く水研ぎをするのが一般的です。
溶接機
溶接機もさまざまな局面で使用します。パネルの表面のへこみを表側から引っ張る引き出し作業を行う際には、外板パネルにピンやワッシャーを溶接するため、このときはスタッド溶接機がよく使われます。
溶接箇所が多いときには扱いがラクな半自動溶接機が便利です。また、自動車の生産ラインの産業ロボットによく取り付けられているスポット溶接機も使われます。
フレーム修正機
車体のフレームなどにまでダメージが及んでいるときに役立つのがフレーム修正機です。フレームが大きく損傷している場合は、ベンチタイプのフレーム修正機、外板パネルのみの損傷であれば床式のフレーム修正機が役に立ちます。
塗装で使う道具
次に塗装作業で使用する道具についてもみてみましょう。
塗料
塗料には120種類を超える原色塗料があります。実際に塗装を行う際は、この中から必要な色を必要な量だけ選んで調色を行います。車ごとの色の配合データは、塗料メーカーがカラーコード(オートカラー)として公表しています。これをもとに、車の現状に応じて調色(色合わせ)をしてから塗装します。
スプレーガン
塗装作業はスプレーガンを使って行います。上塗りベースコート、下塗りサーフェーサー、さらに「ボカシ」用など、作業の種類によってノズル口径などが異なるスプレーガンを使い分けます。
ボカシ剤
ボカシとは新しく塗布した塗料と、元の車の塗料とをぼかしてなじませることです。方法はボカシ剤を使って両方の塗料を溶かし、境目をあいまいにするというものです。ボカシ剤の主成分はいわゆるシンナーです。
ポリッシャー
ポリッシャーは車の磨き作業を行うための道具です。傷やへこみを修理した塗装面を磨く場合や、コーティングの下地を整えるために磨く場合などがあります。ほとんどは電動タイプで、シングルアクションのものとダブルアクションのもの、小範囲をピンポイントで磨くのに適したもの、エアーで冷却しながら磨き作業ができるものなどの種類があります。
マスキング
不要な箇所に塗料が付着するのを防ぐための処置がマスキングです。板金塗装ではよくマスキングテープと新聞紙を併用して使用します。
以上、板金塗装でよく使う道具についてご紹介しましたが、まだまだここに挙げたもの以外に数多くの道具があります。板金塗装の作業を通じて、徐々に使い方をマスターしていきましょう。