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圧縮天然ガス(CNG)を使った自動車の特徴とは?
天然ガス自動車の中でも最も普及が進んでいるCNG自動車。それはどのような特徴を持つ自動車なのでしょうか。現在、製造されている種類やメリット・デメリットなど、CNG自動車について知っておくべきことをまとめてご紹介しましょう。
CNG自動車とは
CNG自動車とは圧縮した天然ガスを燃料にして走行する自動車のことです。CNGは「Compressed Natural Gas」の略です。圧縮天然ガス自動車とも呼ばれます。CNG自動車においては、天然ガスは20MPa(メガパスカル)という高圧で車両内のガス容器に貯蔵されます。
天然ガス自動車として知られる自動車には、このCNG自動車に加えて吸着天然ガス(ANG)自動車、液化天然ガス(LGN)自動車の3種類があります。CNG自動車は最も開発が進み、普及している天然ガス自動車です。現在は特にトラックなどの商用車を中心に実用化が進んでいます。CNG自動車は既存のガソリン車、もしくはディーゼル車を改造し転換することで利用することができます。
CNG自動車の種類
CNG自動車にはいくつか異なる種類があります。その主な種類は、天然ガスのみ、あるいは他の燃料との組み合わせによって、次のように分けられます。
天然ガス専用車
圧縮天然ガスのみを燃料にする方式の車です。専焼方式とも呼ばれます。軽自動車や小型貨物車などの場合はガソリンエンジンをベースに、トラックやバスなどの大型車の場合はディーゼルエンジンをベースにするのが一般的です。ガソリンエンジンの場合は天然ガスエンジンと構造が近く、タンクと燃料供給装置の交換、点火時期の調整などを行うことで改造が可能です。一方、ディーゼルエンジンは大幅な改造が必要です。
バイフューエル車
圧縮天然ガスとガソリンなど他の燃料を切り替えてどちらも使用できる方式の車です。日本では普及していませんが、ヨーロッパの小型乗用車におけるCNG自動車ではよく見られるタイプです。
デュアルフューエル車
圧縮天然ガスに軽油など他の燃料を混合して使用する方式の車です。主に軽油が着火源として用いられます。ディーゼルエンジンとほぼ同等の熱効率が得られることと、軽油のみでも走行可能なことが特徴です。
ハイブリッド車
圧縮天然ガスエンジンと電気モーターという2つの動力を組み合わせて走行する方式の車です。ガソリンと電気を使うハイブリッドカーと似たタイプと考えればわかりやすいでしょう。
CNG自動車のメリットとデメリット
CNG自動車は環境に優しい自動車です。黒煙や硫黄酸化物は排出されず、ガソリン車と比べて二酸化炭素は2割ほど削減でき、窒素酸化物や一酸化炭素などの排出量も少なくなります。また、
デメリットはエコ・ステーションなどの圧縮天然ガスを補給できる場所がまだまだ少ないことです。導管を使って圧縮天然ガスを供給できる場所は限られているのが現状です。また、一充填あたりの走行距離が短く、ガソリン車やディーゼル車と比べると物足りません。さらに車両の購入コストはガソリン車、ディーゼル車に比べてやや高めです。
技術的な点で言えば、天然ガス専用車では熱効率においてガソリンエンジンとは同等ですが、ディーゼルエンジンには及びません。また、出力性能においてはガソリンエンジンよりも1~2割低下します。これらの改善が今後の課題となっています。
環境性能が高いCNG自動車は、今後さらに普及していくことが期待されています。一方でCNG自動車の整備技術を持つ整備士の数はまだ少なく、その育成が待たれています。CNG自動車を含む天然ガス自動車の動向に注目し、そのメカニズムについても学んでみてはいかがでしょうか。