自動車整備士が不足している? いま人材が求められる背景

自動車整備士が不足している? いま人材が求められる背景

自動車整備業界は今、深刻な人材不足に悩まされています。自動車整備士の数が足りなくなっている現状とはどのようなものなのか、その理由は何なのかなど、とくに若い世代の自動車整備士が求められている背景についてまとめます。

自動車整備士が不足している現状

日本の自動車整備士不足は深刻化しています。
一般社団法人日本自動車整備振興会連合会の整備事業場を対象としたアンケート調査(自動車整備白書 平成26年度版)では、全体の47.9%の事業所で整備士が不足しており、その内10.9%の事業所が「不足で支障をきたす」と回答しているという現実が示されています。
整備工場、ディーラーを問わず整備士が足りない状況は慢性化しており、すでに運営に支障が出ている事業所も少なくないという状況です。

人手不足にもかかわらず採用状況が改善されないという問題も起きています。
一般社団法人日本自動車販売協会連合会が平成26年4月に会員を対象に行ったアンケート調査では、約8割のディーラーが「サービスエンジニアの採用に困っている」と回答し、5割強のディーラーが採用計画人数よりも実際に確保できたサービスエンジニアの数が下回ったと回答しています。

自動車整備士が不足している理由

なぜそれほど自動車整備士は不足しているのでしょう? ベースにあるのは少子高齢化、若者の車離れ、将来の選択肢の多様化などです。これらによって自動車整備士を目指す若者の数が減っています。全国自動車大学校・整備専門学校協会の調査によれば自動車整備士の専門学校入学者数は最近ではやや増加傾向にありますが、過去10年間で見ると整備学校全体の入学者の数は半減しています。

また、整備業界は従業員10人以下の企業が約8割を占めるため、大規模な採用活動を行うのが難しい点もスムーズな人材確保を妨げています。多くの職場があって整備士が足りず困っていても、そのことがあまり知られていません。

人材が求められている背景

自動車整備士になる若者の数は減っているものの、自動車整備士への需要がなくなっているわけではありません。国民1人当たりの自動車保有台数はむしろ増加傾向にあります。将来のことを考えれば、自動車整備士の不足はますます深刻化すると予測され、この流れが加速化していくことが懸念されています。仮に自動車整備業が機能不全に陥れば、社会全体として自動車の安全を確保することが難しくなってしまいます。

一方で、専門的な技術や知識を身につけることができる自動車整備士に魅力を見出す若者も徐々に増えています。体力的にハード、オイルなどで汚れるといったイメージもある整備士の仕事ですが、最近はスキャンツールと呼ばれる外部故障診断装置を活用したり、インターネットを使って整備情報を共有したりするなどIT化が進んでいます。また、女性の自動車整備士も活躍しており、事業所によってはユニフォームも洗練されたデザインのものが使用されています。
このように、少しずつ自動車整備士という仕事のイメージも変わりつつあるといえます。

自動車整備士が不足しているという現状を踏まえると、需要の多い今この仕事を目指せば、自分に合った職場環境や仕事内容を選択できるチャンスがあるということでもあります。自動車整備業界では、次世代を担う若年層の活躍が強く求められています。

参考URL:
国土交通省「自動車整備士不足の現状と行政の取組」

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