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自動車整備士の将来性は? これからの整備の役割
自動車整備士になろうと考えている人にとって、この仕事の将来性はとても重要なポイントです。今後、自動車整備士、整備業は、社会の中でどんな役割を担っていくのか……少し先の未来について考察してみましょう。
自動車整備士の将来性
日本では若者の車離れが進んでいるといわれますが、自動車の保有台数は全国で8,100万台を超えています(平成27年11月末時点)。また、国土地理院がまとめた自動車整備人材の確保・育成に関する検討会の「検討会報告書」によれば、今後、日本の人口が減少していくのに比べて自動車保有台数はそれほど減少せず、将来の国民1人当たりの自動車保有台数はむしろ増加傾向にあると観測されています。
これらのことから、自動車の点検整備に対する需要は今後も安定的であると予想できます。自動車という乗り物が供給され続ける限り、アフターマーケットを担う自動車整備士の活躍フィールドはなくならないでしょう。
製造業などは例えばリーマンショックの影響で非常に落ち込んだ時期などありますが、整備販売関連の売上はそれほど影響を受けておらず、景気動向に強いとも言われています。
ただし、景気の動向以外にも、未来においては技術の進歩とそれに伴う顧客ニーズの変化が起きてくるでしょう。整備士もその変化に対応していくことが絶対条件となるはずです。
これからの自動車整備業の役割
では、これからの自動車整備業はどのような役割を担い、どのようなサービスを提供していくようになるのでしょうか。
自動車整備に対するニーズは多様化と専門化という2つの方向に向かうと考えられます。単に点検整備、車検整備、車体整備を行うだけでなく、レッカー車業、自動車販売・買取業、損保代理店業、自動車用品販売業といった幅広いニーズに対応する自動車整備業者が求められるでしょう。
一方で、車体整備に特化して顧客の細かな要望に応える業者、輸入車整備を専門とする業者などニッチなサービスを展開する業者も現れています。
こうした多様化と専門化の二極化は今後も加速していきそうです。
技術の高度化も進むでしょう。国土交通省では、自動車に接続して各装置の作動状況を診断できる外部故障診断装置=スキャンツールの普及・活用を推進しています。自動車の故障箇所を発見し、必要な整備を確実に行うことができるこのような装置は、自動車自体の進化に合わせてますます高性能化・多機能化していくはずです。
加えて、今後は今以上に環境に配慮した整備業のあり方が問われるようになります。地域社会とのつながりも重要視され、整備工場やディーラー、新車・中古車販売業者が地元のカーライフを支える存在になっていくでしょう。
自動車整備業はもともと地域密着型の産業であり、経済の活性化、雇用創出、地域の利便性の向上に寄与する役割を担っています。地域内の環境を保全し、地域の人たちとの交流やつながりを作るような活動も重要さを増していくと思われます。
これからの自動車整備士に求められるスキル
すでに自動車整備士には、HV車や電気自動車など新技術への対応、整備士同士の技術知識共有をスムーズに行うためのITスキルなどが求められるようになっています。
今後は自動車にAIが組み込まれ、自動運転などが実現する未来もやってくるでしょう。常に新しい技術や知識、知見を積極的に学ぶ姿勢が必要となってきます。
その一方で、顧客のニーズの変化に耳をすませ、時代の移り変わりを感じ取れるセンスも求められます。そのためには常に顧客の立場になって考えられる感受性やコミュニケーション能力も身につけていなければなりません。
これからの自動車整備士は、車を点検・整備するだけでなく、カーライフ全般について相談に乗り、責任を持つ専門家としての役割を担っていくことになるでしょう。そんな観点からも、自動車整備士という仕事を捉えてみてはいかがでしょうか。
参考URL:
一般財団法人 自動車検査登録情報協会「自動車保有台数」