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自動車ディーラーとメーカーはまったくの別会社? その違いとは
自動車ディーラーの中には、自動車メーカーや車名を冠した名前の会社をよく見かけます。はたして自動車ディーラーと自動車メーカーはどのような関係にあるのでしょうか。別会社なのか同じ会社なのか、ディーラーとメーカーの違いについて解説します。
ディーラーとメーカーは別会社? その違いは?
ディーラーとは自動車メーカーが生産する自動車の販売とアフターサービス(点検整備等)を行う販売会社(販社)のことです。
特にメーカー1社のみと特約店契約を結び、特定のメーカーから直接車を仕入れてエンドユーザーに販売するディーラーのことを正規ディーラーと言います。
複数のメーカーを扱っている場合はサブディーラーと呼ばれ、こちらは基本的にディーラーから車を買ってエンドユーザーに販売しています。
正規ディーラーは、契約しているメーカーの車をその地域内で独占的に販売することを認められた会社(店)です。またブランド名やロゴなど、メーカーが保有する商標を使用することも認められています。この権利をディーラー権と言います。
ディーラーは正規ディーラーであってもメーカーとは別会社であり、全国に存在します。別会社なので当然、メーカーとは給与体系や福利厚生などすべてが異なります。
ディーラーは通常、都道府県ごとに経営会社が存在します。また同じ地域内でも、同一メーカー内に販売チャネルの異なる系列(トヨタ店、トヨペット店、トヨタカローラ店、ネッツ店など)がある場合は、系列店ごとに経営会社が分かれています。
ディーラーとメーカーの資本関係
資本関係で分類すると、ディーラーの中にはメーカーが直営しているメーカー系ディーラーと、地元の会社が経営しているもの……という主に2種類があります。
直営といってもメーカーとはやはり別会社で違いがあります。メーカーの出資率が100%であれば子会社ということになりますが、その場合も会社としては別組織なので給与体系などは異なります。メーカーによって全ディーラーのうち直営が大半を占めている場合と、一部が直営という場合があります。
子会社ではない地元の会社がメーカーと特約店契約を結んでいる場合は、直営ディーラーと区別して独立系ディーラーなどと呼ばれます。こちらはメーカーの資本は一切入っていません。
メーカーからディーラーへの出向
メーカーとディーラーは別会社と書きましたが、自動車メーカー本社に就職した社員がディーラーに出向することは、実は珍しいことではありません。
営業、サービス(整備)とも出向するケースがあり、その場合はディーラーという販売の現場での経験を積むことになります。メーカーによっては、全国さまざまな都道府県のディーラーで一定期間働く出向制度が設けられています。
出向先は直営のディーラーがほとんどです。出向した場合、給与体系はメーカー本社に準じることになります。
一方、ディーラーに入社した整備士がメーカー本社で研修を受けるケースや、中国や東南アジアなどの店舗に現地スタッフの指導のため、ディーラーの整備士が海外勤務にあたるということもあります。別会社とはいえ、メーカーとディーラーは密接な関係を持っており、人の行き来が行われているわけです。
自動車ディーラーと自動車メーカーの違いは、営業マンや整備士として就職を考えるときに前提として理解しておくべきことです。また同時に、両社には生産と販売という事業の繋がりがあり、仕事をする上で人材の交流があることも知っておきましょう。